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コロナによる休校措置から学校が再開して数年が経ちますが、日米ともに不登校の子どもの数は急増しています。厚生労働省によると、日本の小中学校における不登校児童生徒数は10年連続で増加し、2022年度には前年度から22.1%増の29万9048人、全体の3.2%となり、過去最多を更新。いじめや自殺者数も過去最多となりました。アメリカでも、コロナ前は全体の約15%だった不登校の生徒数が、2021-22年度には約28%に急増し、2022-23年度には26%と高止まりしています。 不登校を減らす取り組みを行っているアメリカのNPO「アテンダンス・ワークス」によれば、不登校の原因は「障壁」、「嫌悪感」、「無気力/無関心」、「出席への誤解」の4つのカテゴリーに分類されます。「障壁」は、発達障害をはじめ不安定な家庭や地域犯罪率など個人および環境を含めたさまざまなハンディ。「嫌悪感」は、いじめや人間関係、宿題などさまざまな理由により起こる不安感や嫌な気分。「無気力/無関心」は、ストレスが限界に達して心が麻痺したり無気力になっている状態。「出席への誤解」は、兄弟の面倒を見たり家事を手伝う必要があり学校に行く優先順位が低くなっている状態です。 不登校の典型的な例は、真面目で頑張り屋だけど融通が効かない性格で、勉強や友人関係でつまづくと切り替えができずにこだわり続け、不安症状や身体症状に発展するというものです。朝起きられない、学校に行く前に泣いたり癇癪を起こす、車から降りることができない、授業の途中で体調不良になり早退するといった行動が頻繁に見られるようであれば、子どもはすでに相当なストレスを抱えています。まずは「学校に行かなければダメ」という思い込みをいったん手放し、休ませてあげましょう。 日本政府も2016年には「不登校を問題行動と判断してはならない」とし、2017年には不登校児童生徒を学校に戻すことが目標ではなく「社会的に自立すること」と方針を転換しました。子どもの気質やニーズによっては、少人数制や柔軟性のある代替プログラムの方が合っているかもしれません。幸いなことに、アメリカでは多くの代替プログラムが提供されていますので、制度を知っておくだけでも安心でしょう。以下、ワシントン州教育委員会が認可している主な制度です。 私立学校: 少人数制、モンテッソーリやシュタイナー、キリスト教など、特定の教育・宗教理念やアプローチに基づいて運営されていたり、少人数で手厚いケアが受けられるなど質の高い教育を提供。 ホームスクール: 主に親が家庭教師となり子どもたちに教育を施す。カリキュラムや教材は家庭で選択され、学習環境は子どものニーズに合わせて調整される。 オルタナティブスクール(フリースクール): 従来の学校教育に代わる教育プログラムを提供する学校。たとえば、アートや音楽、野外での体験学習など自由な校風の学校が多い。 オンラインスクール: 主にオンライン指導を通じて基礎教育プログラムを提供。さまざまな科目やレベルの教材が提供されており、自分のペースで学習できる。 ホームホスピタル: 身体的または精神的な障害や病気のため、推定4週間以上学校に通うことができない生徒向けに、自宅や病院での学習指導が提供される。 オープンドアプログラム: 学校を中退、または21歳までに高校を卒業する見込みがない16~21歳までの若者を対象とした教育プログラム。 なお、アメリカでは、義務教育下の児童の不登校は違法であり、ワシントン州では月15日以上の無断欠席で提訴される可能性があるので注意が必要です。スクールカウンセラーに現状を正直に伝え支援を求めたり、連絡を取り合い良好な関係を保ちましょう。子どももつらいですが親も不安でいっぱいです。サポート・グループやカウンセリングなどを活用して苦しい気持ちを共有し、孤立しないことが大切。社会が大きく変化するなか、求められる人物像も大きく様変わりしています。子どもがどの道を選ぶにしても、自分で考えて選択することが自信につながります。人生に遠回りはないので、将来的に自分の居場所を見つけて自立することを一番の目標として、焦らずじっくり支援していきましょう。
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Author長野弘子 Archives
June 2024
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