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美容院やエステサロンで施術を受けるとき、つい本音を話してしまった経験はありませんか。実はこれ、俗に「愛情ホルモン」と言われるオキシトシンのせいかもしれません。オキシトシンの語源は「早い出産」という意味のギリシャ語で、出産や授乳の際に分泌されるホルモンとして古くから知られ、陣痛促進剤としても使われています。その働きは、他者への愛情を感じさせる、好奇心や学習意欲が高まる、筋肉の緊張が緩む、心肺機能や胃腸の働きが良くなる、傷の治りが速くなるなど多岐にわたります。また、ストレス・ホルモンであるコルチゾールの分泌を抑え、幸せホルモンと言われるセロトニンの分泌を促すことから、ストレスや不安感を軽減させてリラックス状態をもたらします。 オキシトシンは哺乳類にだけ分泌され、一夫一妻制の平原ハタネズミは血中のオキシトシン濃度が高いことから、オキシトシンが社会的な行動に関与しているとわかってきました。2005年には、男性へオキシトシンを投与する実験で、恐怖心が和らぎ、他者への信頼感が増すことがわかり、世界的なニュースに。ちなみに、血中濃度が高過ぎる人は、愛情深いゆえか嫉妬深かったり猜疑心が強かったりするとのこと。この研究により、オキシトシンは社会性に関するホルモンとして注目され、東京大学や金沢大学などでオキシトシン投与により自閉症の社会機能を改善しようという試みも始まっています。実際に、オキシトシンの血中濃度が低かった患者にオキシトシン点鼻薬を投与したところ、攻撃性が減り、日々の会話と笑顔が増えたそうです。 近年では筋肉の老化を防ぐなどの若返り効果が発見され、ますます重要度が高まるオキシトシンですが、どうやったら分泌されるのでしょうか。もっとも効果的なのが、人と触れ合うスキンシップです。ヘアカットやマッサージでつい本音をしゃべってしまうのも、オキシトシンが分泌されて信頼感が強まるからかもしれません。 これを子育てに活用しない手はありませんね。子どもとたくさん触れ合い、抱っこしたりマッサージしたりしてあげてください。子どもの情緒が安定して落ち着き、皮膚刺激により脳が発達。運動能力が高まるほか、親から子どもへの愛情も強まり、育児ストレスが軽減することがわかっています。 アメリカで行われた自閉症やADHD(注意欠陥・多動性障害)の子どもへの調査でも、毎晩寝る前に親が15分ほど手足やお腹、背中をマッサージしたところ、子どもの自律神経のバランスが整い、問題行動が減ったとのこと。特におすすめなのが足裏マッサージです。足は「第2の心臓」とも呼ばれ、血液を心臓に送り返す大事な働きがあるほか、目や胃腸などたくさんの器官や内臓の反射区があります。ここをマッサージすることで、リラックス状態をもたらす副交感神経が優位になり、心身共に健康を維持できます。 多くのアスリートは、小さい頃に親から足裏マッサージをしてもらっていたそうです。イチロー選手の父、鈴木宣之さんも、毎朝毎晩欠かさずイチロー選手に足裏マッサージをして、特に夜は眠りに就くまでずっとマッサージを続けたそう。そのおかげで、親子共に気持ちのわだかまりがなくなり、子どもの心に触れることができたと言っています。子どもの本心を聞き出すにもベストな方法だし、親子の絆を強めるためにも、ぜひ日々の生活に親子マッサージの習慣を取り入れたいですね。 スキンシップに限らず、オキシトシンは友だちとおしゃべりしたり、誰かに親切にしたり、ペットと遊んだり、楽しいことや感動することでも分泌されます。オキシトシンの血中濃度は、老化と共に3分の1にも減少してしまいます。 インターネットの普及により他者との直接的な関わりが減っている現代人は、ストレスを抱え、どうしてもオキシトシン不足になりがち。子どもやパートナーに最近よくイライラしたり、肩こりや冷え性など自律神経の不調を感じたりしているなら、ぜひオキシトシンを増やす行動を意識して取り入れてみてはいかがでしょうか。
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Author長野弘子 Archives
February 2024
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