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どうしても学校に行けずに長期間休んでしまう、そんな不登校児童生徒が日本で増え続けています。昨年10月に政府が発表した調査によると、不登校の小中学生は約19万6,000人と、前年度から1万5,000人近く増加し、過去最多を記録。全児童生徒数に占める割合は小学校で1.0%、中学校で4.1%に上ります。文部科学省によると不登校児童生徒とは、病気や経済的といった特別な理由がなく、精神的、身体的、社会的な要因により「年間30日以上欠席した者」と定義されています。 アメリカでは国による明確な定義はありませんが、年間の授業日数(160〜180日)の約10%である3週間(15授業日)以上を欠席すると、学業に支障が出たり留年のリスクが高まったりするとされています。アメリカで2015〜16年度に3週間以上欠席した児童生徒は700万人以上おり、全児童生徒数の約16%を占めています。ちなみに日本の年間授業日数は200日前後ですので、その10%に当たる年間20日以上の欠席日数で調べるとさらに数が増えると推測されます。 不登校の典型的なパターンは、朝に元気がなく、「学校に行きたくない」と行き渋ります。泣き叫んだり癇癪を起こしたり、頭痛や腹痛などの身体的症状が出る場合も。最初は月に数回だったのが次第に増えていき、親も焦って説得したりなだめたりと、何とか学校に行かせようとしますが効果はなく、学校からのプレッシャーもあり親子共に精神的につらい状態が続きます。ホームスクールやオンラインとのハイブリッドなど多様なサービスが充実しているアメリカでも、子どもは学校に行けない罪悪感を強く感じています。 親にとってみれば、不登校は「問題の始まり」に見えるかもしれませんが、実は「問題の最終段階」だと訴えるのは、信州大学医学部の本田秀夫教授。行き渋りは、「学校に行く自分っていう人生を捨てたという、もう最後の段階です」。この段階から頑張っても行けるようになる確率は低いので、休ませてあげるのが大事。日本政府も2016年には「不登校を問題行動と判断してはならない」とし、2017年には不登校児童生徒を学校に戻すことが目標ではなく「社会的に自立すること」と大きく方針転換。フリースクールへの参加を出席扱いにする学校も増えてきました。 不登校の子どもにはどう接するべきなのでしょうか? まず、子どもたちが最も求めているのは「ただ理解して見守ってくれる大人の存在」です。彼らの多くは学校に行けない自分を責め続けています。過度な期待や励ましは思い切って手放しましょう。「学校へは行かなくていいよ」とその子の選択を尊重し、「何かできることがあったら教えてね」と子どもの主体性を陰で支えましょう。 次に、「ほっとできる居場所」を作ってあげましょう。たとえ自分の部屋にいても、親が「学校に行って欲しい」という思いでいると、家の中にも居場所がなくなってしまいます。とにかく何も考えず休むことのできる場所が必要です。子どもの気持ちを十分に聞いてあげ、「途中でやめてもいいよ」、「逃げてもいいよ」と伝え、家庭を居心地のいい安心の空間にします。 さらに、「好きなことのできる時間」を確保します。小学2年から中学3年まで学校に行かずにゲームにハマったという小幡和輝さんは、ゲームに費やした時間がおよそ3万時間。著書『学校は行かなくてもいい』の中で「音楽、パソコン……なんでもいいからとことんハマれ!」と訴える小幡さんは、高校3年生の時に起業し、現在ではオンラインでゲームを教える会社、ゲムトレを経営しながら、「不登校は不幸じゃない」というメッセージを込めたイベントを日本全国で開催しています。 これからは、学校の成績よりも何かにひとつでも秀でている人が重用される時代。学校は選択肢のひとつでしかありません。親自身も先行きが見えない不安感や本音を話し合える、支援や息抜きの場を見つけましょう。子どももまた、やる気を伸ばして、同じように悩んでいる仲間と出会える場所が必ず見つかるので大丈夫。焦りを手放したときに子どもへの対応が変わり、子どもも変わっていきます。子どもの生きる力を信じてあげましょう。 (参考記事) 1.https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211217/k10013362471000.html 2.https://www2.ed.gov/datastory/chronicabsenteeism.html 3.https://www.youtube.com/watch?v=ywwVQkwDC70 4.https://www.obatakazuki.com/4800060 5.「学校は行かなくてもいい ――親子で読みたい「正しい不登校のやり方」」 https://www.amazon.co.jp/学校は行かなくてもいい-――親子で読みたい「正しい不登校のやり方」-小幡和輝/dp/4907838905
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Author長野弘子 Archives
February 2024
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