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子どものチャレンジを応援する「エクスポージャー」

6/9/2018

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www.soysource.net/2018/06/exposure-therapy-specific-phobia/


子どもの頃、嫌な体験をしてから苦手になって避けてしまっているものはありませんか。たとえば、クモや犬などの生き物、飛行機、人混みなど。放っておけば次第に良くなったり自分で克服できたりする場合もありますが、嫌なものを極端に避けて生活していると、それに遭遇したときに動悸や吐き気、めまい、ひどい場合はパニック発作を起こすようになる場合も。これにより、生活の幅が著しく狭まり、本人が苦しんでいるようであれば、恐怖症(Phobia)を発症している可能性があります。

恐怖症は不安障害のひとつであり、とくに危険でも何でもない特定の物や場所、状況に対して異常な怖れを抱きます。動物や虫、高所や閉所、公の場所、社交・対人関係などが多いですが、なかには箸恐怖症(Consecotaleophobia)、数字の8恐怖症(Octophobia)、膝恐怖症(Genuphobia)、吉報恐怖症(Euphobia)、長い単語恐怖症(Hippopotomonstrosesquippedaliophobia)、恐怖症恐怖症(Phobophobia)など、とうてい理解できないものも含めて500種類以上の恐怖症が存在します。その多くは子どもの頃の不合理な思い込み、痛ましい出来事や恐怖体験に端を発し、恐怖を避けるために多くの時間を費やしてさらに悪循環に陥ります。

治療法としては、曝露療法(エクスポージャー・セラピー)といって、怖れや不安の対象に直面するやり方が効果的です。心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症した兵士向けに、ジョゼフ・ウォルピ精神科医が開発した系統的脱感作をベースとし、現在では一般的なセラピー・メソッドである認知行動療法(CBT)のプログラムにも曝露療法は組み込まれています。

どのように曝露療法を用いるかは、恐怖症の種類やクライアントの状態によっても違いますが、ティーンに多い社交不安障害の場合、曝露を含んだCBTをよく使います。実際に、不安と緊張のあまり人前でスピーチができないというティーンへの治療例を紹介します。最初に、不安を感じる脳のメカニズムや思考・感情・行動の関係を説明し、クライアントの認知のゆがみを探り、考え方を再構成します。次にリラクゼーションや感情コントロール法などを練習してもらい、フィア・ラダーと呼ばれる難易度の低い曝露から段階的に書き込む不安階層表を作成。いちばん下から順に「家族や友人の前でスピーチの練習をする」、「友人の前でジョークを言う」、「数人の前でスピーチを読み上げる」、「教室で手を挙げて質問する」、「教室でグループのひとりとして数分間のスピーチをする」、そして最後が「みんなの前でひとりでスピーチをする」という曝露目標を立て、順番に実践。そのティーンは、パニック発作に襲われながらもチャレンジを続け、半年後には教室で手を挙げて先生に質問することができるようになり、1年経たないうちに堂々とスピーチができるようになりました。

曝露療法は、強迫性障害(OCD)、PTSD、パニック障害、広場恐怖症、場面緘黙症などにも有効です。特に、OCDで多いのが1日に何百回も手を洗うなどの不潔恐怖ですが、ドアノブに触れるという曝露に加えて、手を洗うという強迫行為をやらせない反応妨害を組み合わせた曝露反応妨害法(ERP)が有効です。強迫行為をしなくても恐怖感が減ることを体験し、強迫観念が少しずつ薄らいでいきます。また、PTSDでは、持続エクスポージャー(PE)や認知処理法(CPT)という療法が効果的です。どちらも、恐怖を呼び起こすトラウマ体験への曝露が含まれていますが、CPTはトラウマ体験がもたらした認知の変化に焦点を絞っているため、クライアントが罪悪感を強く感じる時はCPT
のほうが効果が高いとされています。

​人間誰しも苦手なものや避けているもののひとつやふたつはありますが、恐怖がコントロールできないレベルであれば、専門家の助けを借りてチャレンジすることをお勧めします。
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    Author

    長野弘子
    ​MA, MHP, LMHC


    NYと東京で出版事業に携わった後、東北大震災をきっかけにシアトルに移住。ノースウェスト大学院カウンセリング心理学卒業後、米大手メンタルヘルス機関で心理カウンセラー(LMHCA)として勤務。うつ病や不安障害、ADHD、自閉症等を抱える多くの子供やティーンエイジャーに対してセラピーを行っている。

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