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新型コロナ禍により「ニューノーマル」と言われる新しい生活様式への適応が迫られる中、多くの家庭から悩みが聞こえてきます。長引く休園・休校で家にいる小さな子どもへの対応に困っていたり、学校からのメールが多過ぎて全部を細かく読んで子どもの課題をサポートするのが困難だったり。そして、虐待やドメスティック・バイオレンス(DV)の恐怖におびえながら、行き場がなく困っている人も少なくありません。今回は、ストレスを減らして、毎日を少しでも楽しく平和に過ごすための子育てのコツをご紹介します。 最近、心の底から思いっきり笑ったのはいつですか? 笑いには、ストレスを解消して免疫機能を高める絶大な効果があることがわかっています。笑いにより、通常の呼吸の3倍量の酸素が体内に取り込まれ、ガン細胞やウイルスを退治する50億個のナチュラルキラー(NK)細胞が活性化。脳の働きが活発になり、記憶力もアップします。血行を促進し、自律神経のバランスを整えるほか、モルヒネの6倍以上の強力な鎮痛作用を持つ脳内の神経伝達物質、エンドルフィン分泌を促します。 笑いを表現する言葉には、大笑い、高笑い、爆笑、愛想笑い、薄笑い、作り笑い、冷笑、嘲笑、苦笑、微笑、照れ笑いなど30語ほどあり、笑いの役割も楽しさ、面白さ、社交、緊張緩和、攻撃など多岐にわたります。ユーモアのセンスのある人は知能指数が高いとの調査結果も。医療の現場では、小児病棟を訪れて子どもたちを笑わせ、元気付けるクリニクラウン(臨床道化師)という職種があります。これはアメリカ人のパッチ・アダムス医師が始めたもので、ロビン・ウィリアムス主演で映画化もされています。大声で笑いながらヨガを行うインド発祥の「笑いヨガ」も世界中に広がっており、私自身、以前体験した際には心身共にスッキリ軽くなり、笑いのパワーを実感しました。 お金もかからなくて効果絶大な笑いのパワーを子育てにもぜひ活用しましょう。たとえば、人差し指を横にして口に挟むジェスチャーをしながら、「こうすると嫌な気持ちが消えて楽しくなるよ」と言うと、大抵の子どもはまねをして笑い出します。表情筋から脳に笑顔のシグナルが送られることで、脳が楽しいという感情を感知する「顔面フィードバック仮説」に基づくもので、顔だけではなく体の動きも感情に影響を与えることがわかっています。 実際、両腕を高く上げたり腰に手を当てたりといった強そうな「パワーポーズ」を2分間キープするだけで、男性ホルモンのテストステロンが20%増加し、ストレスホルモンのコルチゾールが25%減少するため、前向きな気持ちになります。その逆に、体を縮めて弱々しいポーズを取るとテストステロンは10%減少し、コルチゾールは15%増加するそうです。親子でパワーポーズを取るのを習慣にするのもいいでしょう。また、子どもと一緒にため息を数回大きく「はぁ〜」とついてみてください。不思議と元気がなくなってきます。次に、「はっはっは〜」と大声で笑うフリをしてみてください。実際に笑ったのと同様の効果が現れ、元気が戻ってきます。気難しいティーンに対しても、「最近見た面白いミーム(インターネットで流行中のネタ)を教えて」と聞くだけで、返事が返ってこなくても頭の中で楽しいことを考え始めているはずです。 人間の脳には、相手の気持ちや行動を、自分自身の反応であるかのように感じるミラーニューロンという細胞があります。この脳細胞により、親が楽しい気持ちでいると子どもも楽しくなり、その逆にイライラしていると子どももイライラしてきます。子どもやパートナーがムスッとして不機嫌な様子でも、自分は笑おうと決めて楽しいことにフォーカスすると気持ちが軽くなります。気分が落ち込んで笑う余裕なんてないと思っている人もいることでしょう。暗闇の中にいるように不安を感じる時もあると思います。しかし、闇にほんの少しでも光が差し込めば、そこはパッと明るくなります。誰かに頼るのでなく、自分が光になると決めて、フリでもいいので大きな声で笑ってみましょう。笑うと表情筋が鍛えられて美容効果にもつながります。笑顔の人は好感度が高いという調査結果も。まずは率先して、笑いのパワーを活用してみてはいかがでしょうか。
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Author長野弘子 Archives
February 2024
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