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バック・トゥ・スクールへの不安

8/10/2018

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www.soysource.net/2018/08/back-to-school/

夏休みも終わりに近づき、そろそろ新学期への準備へと心を切り替える時期ですね。「学校に行きたくないなぁ」と思う気持ちは、どんな子どもでも多少は持つものですが、中には極度の不安を感じる子もいます。たとえば、「学校の全員から嫌われている」などの非現実的な恐怖が浮かんできて、止めることができません。持続的な不安に強いストレスを感じて神経過敏になり、日常生活に大きな支障をきたすようなら、不安障害を発症している可能性があります。


不安障害の中でも、全般性不安障害(GAD:Generalized Anxiety Disorder)とは、不安の対象が限定されておらず、ほかの人から見て何でもない対象や状況にも恐怖を感じる障害です。あらゆるものに不安を感じ、ひとつの不安が解消しても、次々に新たな不安材料を見つけます。以前いたクライアントも、「親が、がんかもしれない」、「統合失調症になるかも」、「彼氏が自殺を考えている」などと不安対象が数カ月単位で移行していきました。極度の不安を自分でコントロールできず、神経過敏になり疲れやすく、注意散漫や多動といった症状が見られることも。また、頻繁に腹痛や頭痛、吐き気を起こしたり、寝つきが悪かったり夜中に何度も起きたりする身体症状を訴えます。


発症の原因には、もともと不安に敏感であるなどの生まれ持った遺伝的気質と家族関係などの環境要因が影響し合っていると言われています。ハーバード大学の発達心理学者、ジュローム・ケーガン教授が500人以上の赤ん坊を何年にもわたって研究した結果、生後4カ月でモビールの動きに手足をばたつかせるなど、刺激に対して高反応を示した赤ちゃんは、その10年後には内向的で慎重な「抑制的」気質に育ち、その逆に刺激に反応しなかった赤ちゃんは、外向的で活発な「非抑制的」気質に育ったとのこと。その後の研究で、抑制型の人は恐れや不安を感じる扁桃体が興奮しやすく、緊張モードの神経である交感神経と右脳の活動が活発であり、その反対に、非抑制型の人はリラックス・モードの神経である副交感神経と左脳が活発であるということがわかってきました。全体では、内向・抑制型が2割、外向・非抑制型が4割、中間が4割。こうした遺伝的気質に環境要因が複雑に絡み合い、「自分には悪いことが必ず起きる。だけど、自分は無力で何もできない」といった否定的思考が生まれ、不安を回避しようとします。たとえば、学校に行く前に頭痛や腹痛などの身体症状が出て学校を休み、こうした回避行動が強化されて不登校になるケースもあります(不登校の原因は不安だけではなく、いじめ、友人関係、発達の遅れなどさまざまで、その対処法も原因により違います)。

GADの治療法としては、思考と行動を変えて感情を制御する認知行動療法(CBT)が効果的です。まず、子どもになぜ不安な気持ちが起きるのかを教えます。不安は、危険を察知した本能的な反応(闘争・逃走・すくみ)から来ており、安心・安全を感じることができれば軽減します。次に、不安を作り出す子どもの否定的思考を探り出し、それに対して何ができるかをカードに書いて身に付けさせます。


また、リラックス・モードの副交感神経を活性化させるのにいちばん効果的なのが深呼吸です。鼻から息を吸って、数秒止め、口からゆっくり息を吐きます。最初は一緒に練習し、慣れてきたら不安を感じる場面で自分で深呼吸をするよう促します。寝つきが悪い子には、漸進的筋弛緩法(ぜんしんてききんしかんほう)が効果的。楽な姿勢を取り、軽く右手でこぶしを作り、ゆっくりと強く握りしめていきます。こぶしの緊張を十分感じたら、力を一気に抜き、筋肉が緩んでいる感覚を感じます。同じ要領で、両肩や太ももなどもやっていくとリラックスした体の感覚をつかむことができます。反対に避けたい言動は、「心配しちゃダメ」など子どもの気持ちを否定すること。不安を逆に強めてしまいます。不安な気持ちをできるだけ聞いてあげて、安全・安心の時間を増やしていくことが大切です。
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    Author

    長野弘子
    ​MA, MHP, LMHC


    NYと東京で出版事業に携わった後、東北大震災をきっかけにシアトルに移住。ノースウェスト大学院カウンセリング心理学卒業後、米大手メンタルヘルス機関で心理カウンセラー(LMHCA)として勤務。うつ病や不安障害、ADHD、自閉症等を抱える多くの子供やティーンエイジャーに対してセラピーを行っている。

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