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うつ病は心の弱さではない~うつの原因遺伝子が発見~

11/18/2021

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https://soysource.net/lifestyle/children_teen_kokoro/teen-kokoro-50/

新型コロナウイルスの感染拡大により、うつ病が世界で急増したことが経済協力開発機構(OECD)の調査により明らかにされました。調査によると、うつ病やうつ状態の人はパンデミック宣言以降、米国ではなんと3.6倍に増加したとのこと。「コロナうつ」という造語もできたほど社会で大きな波紋を呼んでいる新型コロナウイルスですが、実は、うつ病の原因自体もウイルスである可能性が高いという新説が登場し、注目を集めています。
2020年6月、慈恵医科大学の近藤一博教授らは、うつ病の原因は、誰もが持っている「ヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)」に含まれる遺伝子であると発表しました。HHV-6とは、赤ちゃんの頃から幼児期にかけて、私たちのほぼ100%が感染するウイルスで、感染すると高熱を伴う突発性発疹を引き起こします。
ヒトに感染するヘルペスウイルスには8種類あり、唇に水膨れができる口唇ヘルペスは「単純ヘルペスウイルス1型」、水ぼうそうと帯状疱疹は「水痘・帯状疱疹ウイルス」という同じウイルスによるもの。ヘルペスウイルスは症状が治まっても体内にとどまり、宿主の体が疲れて免疫機能が落ちると次の宿主に移動するため再活性化します。
HHV-6もまた宿主が弱ると活性化し、口の唾液中に出てきます。そこから鼻の奥にある匂いを感じる脳細胞「嗅球」に到達して再感染を起こします。すると、ウイルスの持つSITH-1遺伝子が「SITH-1たんぱく質」を作り出し、これが脳細胞を死滅させ、脳のストレスを強めてうつ状態を引き起こします。ちなみに、SITH-1という名前は、映画「スター・ウォーズ」に登場するジェダイの騎士の宿敵、シスの暗黒卿にちなんだものだそう。
また最近では、うつ病は脳の炎症によるものという「神経炎症説」も話題です。病気やけが、疲労、ストレスなどにより、免疫細胞を活性化させる役割を持つ「炎症性サイトカイン」が発生しますが、大量発生して脳に入り込み、そこで炎症を起こして脳細胞を傷付け、うつを発症させるというもの。近藤教授は、脳のストレスをさせるHHV-6のSITH-1遺伝子というリスクファクターがあり、それに脳の炎症が引き金となって、うつ病が発症するのではないかと推測しています。
さらに、腸内環境もうつ病と深く関わっていることがわかってきました。国立精神・神経医療研究センター神経研究所の研究によると、うつ病患者の腸内のビフィズス菌数は、うつ病でない人に比べて極めて少ないそうです。健常な人の腸内細菌をうつ病の人の大腸に移植する腸内フローラ移植により、うつ病が治ったケースも報告されており、腸と脳は互いに影響し合う「脳腸相関」という概念が脚光を浴びています。
生物の進化の過程で最初にできた臓器は、脳や心臓ではなく腸です。また、幸せホルモンであるセロトニンの8、9割は腸で作られていることからも、腸を整えることが脳や心の健康に直結すると言えそうです。
今のところ、うつ病になる要因はひとつではなく、さまざまな要因が複雑に影響し合い、個人のストレス耐性を超えた時点で発症するものと見られています。うつ病の特徴である「自分・周囲・将来」への極端に悲観的な見方も、自分の心と身体からの「ちょっと休もう」のメッセージと考えられます。
特に、刺激に対して敏感に反応してしまうHSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)や発達障害を持つ人は、ストレスを感じやすいうえに無理して頑張ってしまう傾向があります。心と身体の声に耳を澄まし、少し「疲れたな」と思った時には休むなどして、自分に合ったライフスタイルを探してみましょう。
将来的には、うつ病は身体の病気と同じように誰でもなり得る病気だという認識が社会に広まり、血液検査で予備軍を発見したり、炎症を治療するなど腸内環境を改善したりといった包括的な治療法が取られるようになるかもしれません。「うつは甘え」「心の弱さ」といった誤解や偏見が減っていくことを願います。

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    Author

    長野弘子
    ​MA, MHP, LMHC


    NYと東京で出版事業に携わった後、東北大震災をきっかけにシアトルに移住。ノースウェスト大学院カウンセリング心理学卒業後、米大手メンタルヘルス機関で心理カウンセラー(LMHCA)として勤務。うつ病や不安障害、ADHD、自閉症等を抱える多くの子供やティーンエイジャーに対してセラピーを行っている。

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