Lifeful Counseling
  • Home
  • About
  • Japanese
    • COUNSELOR
    • SUPPORT GROUP
    • PUBLICATIONS

​healing within self

コーヒーでADHDかどうかがわかる?

4/13/2018

0 Comments

 
www.soysource.net/2018/04/how-does-caffeine-affect-adhd/

雨の日が続くシアトルの生活に欠かせないのがコーヒーです。その主成分であるカフェインは眠気を解消させ、記憶力や集中力を高めるため、多くの人に愛飲されています。このコーヒー、実はADHD(注意欠如・多動性障害)の子どもに飲ませると、多動が収まったり不注意が減ったりするとも言われます。

ADHDはよく知られる発達障害のひとつで、主な症状は不注意(集中力がなく気が散りやすい、忘れっぽい)、多動(過度に動き回る、話が止まらない)、衝動性(抑制が利かず、他者の言動に割り込む)です。どの症状が優勢かによって、不注意が目立つ型、多動性が目立つ型、混合型の3つに分けられます。米疾病対策センター(CDC)によると、米国では2003年〜2011年の8年間で子どものADHD患者数が43%も増え、子ども全体の11%に当たる640万人がADHDの診断を受けています。

ADHDの原因はまだ解明されていませんが、脳の神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリンがうまく脳の前頭前野に運ばれず不足気味となって機能異常を起こすのではないかと考えられています。前頭前野は、注意を持続させる、感情をコントロールする、物事を整理して優先順位をつける、全体を見通すといった論理的思考の司令塔であり、こうした実行機能がうまく働かないことでADHDの症状が引き起こされると推測されます。脳の機能異常は遺伝的な要因のほかに、胎児期における環境も関係しているとされ、親の育て方や愛情不足によって引き起こされるものではありません。

子どもが教室でじっとしていられず動き回る、ほかの子とけんかになることが多い、感情や行動の切り替えができずに日常生活に重大な支障を来していると感じるようであれば、学校の先生にも話を聞いた上で、早めに専門家に見てもらうことが大切です。まずはかかりつけの医師に相談し、必要であれば専門機関を紹介してもらうと良いでしょう。

米国児童青年精神医学会(AACAP)では、ADHDの子どもの70%には何らかの学習障害があるため、診断にはウェクスラー式知能検査(WISC-IV)などの知能テストも必要だとしています。ADHDの脳は言語性知能のひとつである作動記憶の指数が低いとされ、各項目を合わせた全体的知能が通常(90~109)であっても、言語理解が高く作動記憶が低い場合は、大人びた言葉をしゃべるが物忘れやミスが多く、やる気がない子だと誤解されてしまいます。診断をしてもらう機関では知能テストを行っているかどうかも事前に確かめるといいでしょう。また、ADHDの子どもの半数はうつや不安などの二次障害も併発するとされており、早めの療育と必要に応じた治療薬の使用が大切になります。

ADHDの治療薬としては、リタリン、コンサータ、フォカリン、アデラル、ヴァイヴァンスなどの中枢神経刺激薬が幅広く使われています。ちなみに、日本ではADHDの患者へのリタリン処方は2007年末以降禁止されています。こうした中枢神経系にかかわる薬は依存性が高いことから、ノルアドレナリン活性薬で乱用性のないストラテラもよく処方されます。ほかには、前頭前野が神経伝達物質を受け取れるよう助けるグアンファシン(商品名:インチュニブ)も。治療薬には、食欲減退や不眠、体重減少、頭痛や腹痛といった副作用もつきものなので、処方に関しては医師とよく相談しましょう。
​
さて、コーヒーがなぜADHDの症状を改善するか、もうおわかりでしょう。カフェインが、中枢神経を刺激して覚醒作用を促すからです。実際に、ルイス大学のレオン博士が行った19本の論文のメタ分析によると、ADHDの子どもにカフェインを摂取させたところ、治療薬よりは効力は低いものの多動が減り生活が改善したという結果が出ています。ただし、まだ十分な研究がなされていない分野であり、子どもの言動が気になるようでしたら一度専門家に相談してみたほうがいいでしょう。質問やお悩みなどは、お気軽にhiroko@lifefulcounseling.comまで。


0 Comments

Your comment will be posted after it is approved.


Leave a Reply.

    Author

    長野弘子
    ​MA, MHP, LMHC


    NYと東京で出版事業に携わった後、東北大震災をきっかけにシアトルに移住。ノースウェスト大学院カウンセリング心理学卒業後、米大手メンタルヘルス機関で心理カウンセラー(LMHCA)として勤務。うつ病や不安障害、ADHD、自閉症等を抱える多くの子供やティーンエイジャーに対してセラピーを行っている。

    Archives

    February 2022
    January 2022
    December 2021
    November 2021
    October 2021
    September 2021
    August 2021
    July 2021
    June 2021
    May 2021
    April 2021
    March 2021
    February 2021
    January 2021
    December 2020
    November 2020
    October 2020
    September 2020
    August 2020
    July 2020
    June 2020
    May 2020
    April 2020
    March 2020
    February 2020
    January 2020
    December 2019
    November 2019
    October 2019
    September 2019
    August 2019
    July 2019
    June 2019
    May 2019
    April 2019
    March 2019
    February 2019
    January 2019
    December 2018
    November 2018
    October 2018
    September 2018
    August 2018
    July 2018
    June 2018
    May 2018
    April 2018
    March 2018
    February 2018
    January 2018
    December 2017
    November 2017
    October 2017

    Categories

    All

    RSS Feed

​CONTACT US:
Lifeful Counseling, PLLC.
E-mail: hiroko at lifefulcounseling.com​​

©  2016 Lifeful Counseling
  • Home
  • About
  • Japanese
    • COUNSELOR
    • SUPPORT GROUP
    • PUBLICATIONS