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東京五輪・パラ選手たちの熱き戦いは、私たちに多くの感動と勇気を与えてくれました。数々の困難を陰で支えるコーチの存在は絶大で、特に試合前に語りかけるコーチの言葉が選手を奮い立たせ、勝敗を大きく左右することも。こうした短い激励のスピーチは「ペップトーク(Pep Talk)」と呼ばれており、現在ではビジネスや学業、メンタルヘルスの分野にも幅広く取り入れられています。このペップトークを子育てにも取り入れ、子どものやる気を最大限に引き出してみませんか。 ペップトークの「pep」とは「元気付ける」という意味。一見簡単そうですが、「頑張って!」といった単純な励ましでは、子どもはなかなかやる気にならないもの。テキサスA&M国際大学のジャクリーン・メイフィールド教授とミルトン・メイフィールド教授の研究によると、効果的なペップトークには、「方向性」、「共感」、そして「使命感」という3つの要素が含まれているそうです。 「方向性」では、目標や目的は何で具体的にはどうすればいいのかという明確な情報を伝えます。方向性や目標がはっきりしないと、目的地のないまま車を運転しているようなもので、どこにも行き着くことができません。「あなたの目標は、〜だね」、「そのためには〜をする必要があるよ」など、具体的にやることを示します。 「共感」では、本人の努力を認め、直面している困難や辛い気持ちを一緒に感じて寄り添ってあげることです。「誰よりも頑張ってきたよね」、「よく耐えたね」という風に、寄り添ってあげると気持ちが落ち着きます。その逆に、「そんな風にネガティブに考えちゃダメだよ」などと否定すると、やる気を失うことに。 最後の「使命感」は、「何のためにそれをやるのか」という動機付けを明確にしてあげること。自分のやっていることは意味があると思えば、人は指示されなくても自分の意志で自発的に動きます。やる気は、行動する理由があれば自然に出てくるもの。「あなたにしかできないことだと思う」、「あなたの頑張りが私の励みになっているよ」、「楽しんできてね」など、本人の個性や気持ちを大事にするような言葉をかけてあげてください。 その逆に、子どものやる気や自信を奪ってしまう言葉もあります。スタンフォード大学の心理学教授であるキャロル・ドゥエック博士の研究によると、子どもを2つのグループに分けて問題を与え、一方には「君は賢いね」と「才能」を褒め、もう一方には「よく頑張ったね」と「努力」を褒めました。その後、次の問題を子どもに選ばせた際に、「才能」を褒められたグループの多くは簡単な問題を、「努力」を褒められたグループの多くは難しい問題を選んだとのこと。 また、両グループの子どもに難しい問題を解かせたところ、「努力」を褒められたグループのほうが成績は良く、「才能」を褒められたグループの子どもたちは、自分の点数を実際よりも高めに報告した子が3倍多かったそうです。このように、才能を褒めると「自分は賢いので問題が解けないのは恥ずかしい」と思い、挑戦を避けて問題が解けなかった際にはうそをついて自分を良く見せようとします。親が良かれと思って「賢いね」などと褒めていると、「自分は人よりも優れているはず」という考えが強化され、失敗を恐れて挑戦を避ける完璧主義的な性格に陥りやすくなります。 やる気や自信を付けさせるには、「努力」にフォーカスすることが大事。言葉の力は、本当に絶大です。実は、ペップトークの3要素がふんだんに使われている格好の教材が、日本にはたくさんあります。それは、ズバリ漫画です。特に、夢に向かって果敢に立ち向かう主人公を描いた「努力・友情・勝利」の少年漫画は、まさにペップトークの塊。親子で漫画やアニメを一緒に観ながら、主人公の言動について語るだけでも大きな効果があるでしょう。ペップトークの3要素を意識しながら、「自分の能力や人格は生まれつきのものではなく、いくらでも成長できる」という信念を子どもに伝え、子どものやる気と自信を伸ばしていきたいものですね。
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車の運転中にどうやって家にたどり着いたか覚えていない、読書や音楽に没頭して自分が呼ばれていることに気付かない、そんな経験はありませんか? このように自分の意識や感覚が自己から切り離されることを「解離」と呼び、誰もが日常的に経験しています。ただ、幼少期に受けた虐待や事故など耐え難いトラウマを経験した人が、自分の心を守るために頻繁に解離を起こしてしまう場合もあります。自分の体が自分のものじゃない感覚や、自分がふたりいるような感じ、気付いたら見知らぬ場所にいるなど、生活に支障を来すほどの場合は「解離性障害(Dissociative Disorders)」の可能性が考えられます。 解離性障害には大きく分けて、1)つらいトラウマ体験やその時期の記憶が思い出せない「解離性健忘(Dissociative Amnesia)」、2)自分を外から眺めているような体外離脱の感覚、あるいは夢でも見ているような非現実感が続く「離人感・現実感喪失(Depersonalization/Derealization Disorder)」、3)ひとりの中に別人格が複数存在する「解離性同一性障害(DID:Dissociative Identity Disorder)」があります。 1)の解離性健忘の一種には、気が付くと知らない場所にいたり、記憶が喪失して家や職場から突然いなくなったり、中には蒸発してしまうケースも。これは「解離性とん走(Dissociative Fugue)」と呼ばれ、記憶のない期間は数時間の場合もあれば、数十年に及ぶという人もいます。 なお、3)の解離性同一性障害の患者は、TVドラマや映画に登場する多重人格者のように明確な人格交代が観察される割合は5%にすぎません。大部分は周囲には気付かれずに、性格に問題のある人だと煙たがられたり、虚言癖や嘘つき呼ばわりされたりしています(注1)。解離状態で過食や自傷行為をして、気付いたら腕が血だらけという場合もあり、本人は自他共にひどい不信感に陥り、孤独感や絶望感から抑うつ、摂食障害、薬物依存なども併発しやすくなります。また、患者の多くは心的外傷後ストレス障害(PTSD)の基準も満たしています。 解離性障害になる人は、身体的、性的、または精神的虐待を幼少期に受け続けた人がほとんどで、その記憶自体を思い出せない人も大勢います。心理学者のマーティン・セリグマン博士が行った実験では、犬を檻に閉じ込めて電気ショックを繰り返し与えたところ、檻を開け放っても諦めて逃げなくなったそうです。この状態を「学習性無力感」と呼びますが、私たち人間も「逃げ場がなく安全な場所がない」状況に置かれると、戦ったり逃げたりすることを諦め、凍り付いたように動けなくなります。 「身体」が逃げられない状態に置かれた子どもは、最終的な防衛手段として「意識」を逃がします。脳は意識が麻痺した時の体験を言語化して記憶できないため、恐怖体験が未処理のまま残り、解離性障害を引き起こすのです。 トラウマ研究を長年続けてきた精神科医のベッセル・ヴァン・デア・コーク氏は、著書『身体はトラウマを記録する』(注2)の中で、トラウマ記憶の多くは非言語領域に留まっているので、言葉中心の心理療法だけでは効果が薄いと指摘しています。したがって、体の感覚にフォーカスする訓練(ヨガ、武道、マインドフルネス)、非言語的なアプローチ(アートセラピー、プレイセラピー)、神経回路に働きかける療法(鍼、タッピング、EMDR:眼球運動による脱感作と再処理法、ニューロフィードバック:脳波訓練法)などとの併用が不可欠になります。 また、最新の脳科学研究によると、私たちの誰もが複数の心を持っており(注3)、トラウマによりそれが断片化されるそうです。このように切り離された自己の一部と対話を深め、調和や統合を図る「内的家族システム(IFS:Internal Family Systems)」療法も効果的です。いずれの方法も、身体感覚を手がかりにしながら自己対話を進めることで、「自分の主導権は自分が握っている」という主体感覚を取り戻すことが大切です。 https://soysource.net/lifestyle/children_teen_kokoro/young-carer/
ヤングケアラーという言葉があります。大人の代わりに掃除、洗濯、料理を行ったり、祖父母のお風呂や着替えの介助、下の子の世話をしたりなど、家族の介護や家事を日常的にせざるを得ない18歳未満の子どもを指します。家の仕事で手一杯になり、部活や進学をやむなく断念するケースも。安心感や愛情を得る機会に恵まれないまま成長し、人間関係や社会生活にも深刻な影響を及ぼすことが認識されつつあります。日本では、中学生の約17人に1人(5.7%)、高校生の約24人に1人(4.1%)がヤングケアラーとして1日平均4時間をケアに費やし、その3割は学校を休みがちに。また、アメリカでも140万人の未成年者がヤングケアラーに該当し、そのうちの40万人は11歳以下と推測されています。 これまで見てきた子どもの中にも、母親が父親から家庭内暴力(DV)を受け心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症し、代わりに小さな兄弟の世話をしている子、重度の障害を持つ兄弟の介護に加えて情緒不安定な親を精神的に支える子、病気の親の介護と家事をひとりで担っている子など、さまざまなヤングケアラーがいました。躁うつの状態を繰り返す双極性障害の親の面倒を見てきた子は、思春期に入ってからは湧き上がる怒りが抑えられず自傷や暴力行為に走り、「自分も親のようになるのが怖い」と涙ながらに語りました。また、精神疾患を持つ親の世話と勉強の両立に疲れ果てた高校生が、自殺を試みたこともありました。 ヤングケアラーの多くは親子関係が逆転しており、自分よりも家族のニーズを先行させて自分の気持ちを抑え込んでいるので、「これが自分だ」という確固とした自我を形成することが困難になります。その結果、自他の区別があいまいで境界線のない「共依存」と言われる関係に陥りがち。「Enmeshed(網の目に絡まる)」な関係とも言いますが、家族が苦しんでいる時に自分が友だちと楽しむことに罪悪感を覚えたり、その逆に家族が自分の思い通りにならないと激怒したりと、人間関係の程良い距離感が保ちにくい状態と言えます。学校では明るく「普通」を装っていますが、辛い気持ちを誰にも打ち明けられず、ひとりで抱え込んでいる子どもも大勢います。 英国ではヤングケアラーに対する取り組みが30年前から進んでおり、2014年にはヤングケアラーの「支援を受ける権利」を認める画期的な法律が制定されました。現在では、休みがちだったり、宿題が出せなかったりする子どもに対して学校側は質問表を使って聞き取りをし、該当者を「ヤングケアラーズ・プロジェクト」と呼ばれる支援団体に紹介してさまざまな支援を提供しています。日本やアメリカでもヤングケアラーの認識が高まりつつあり、日本では今年5月、全国に「ヤングケアラー相談窓口」を設けることを発表。アメリカでも米若年介護者協会(AACY)などの支援団体やサポート・グループが地道な支援を続けており、今後は法的な基盤作りが求められます。 身近にヤングケアラーがいる場合、どうしたらいいでしょうか。まずは、その子の気持ちを聞いてあげること。自分が何をしたいかわからない子どもも大勢いるので、欲求を持つのは自然なことだと伝えてから「本当は何がしたい?」と聞いてあげるだけでも、子どもの気持ちは楽になります。遊びや食事などに誘って孤独感を和らげてあげるのもいいでしょう。また、勉強が遅れがちになるので宿題を手伝ったり、ストレスへの対処スキルを教えたり、ご飯を持たせるなど間接的に経済的援助をすることも大きな助けになります。 さらに、家族に支援を受ける必要性を理解してもらうことが大切です。子どもが家族の面倒を見る状況に一時的に置かれる場合もありますが、長期にわたり大きな負担を背負わされている場合、国際労働機関の規制対象である児童労働、またはネグレクトに該当する可能性があります。介護はれっきとした労働。本来家族の面倒を見るのは大人ですし、ヤングケアラーに支援の手を差し伸べるのも大人の仕事です。ひとりでも多くの子どもが支援を受け、彼らが自分自身の人生を謳歌できるよう切に願います。 https://soysource.net/lifestyle/children_teen_kokoro/oppositional-defiant-disorder/
「魔の2歳児」とも言われるイヤイヤ期。自我が芽生えた子どもが親に反抗し始め、バトルが始まる時期ですね。外出先でイヤイヤされて困り果てることも。けれど、こうした反抗は成長の証でもあり、大抵は3、4歳になる頃に落ち着きます。しかし、中には度を越すほど親に反抗して暴れたり、お友だちに乱暴をしたりと問題行動が続く子もいます。こうした子は、反抗挑戦性障害(ODD:Oppositional Defiant Disorder)に該当するかもしれません。 ODDを発症している子どもは、単に頑固で気難しいといったレベルではなく、半年以上ほぼ毎日のように癇癪を起こして暴れ回り、親や先生に反抗して物を壊したりルールに従わなかったりします。問題行動の起こる頻度や度合いが、その子の年齢や性別、文化的な基準と照らし合わせて明らかに逸脱しており、特定の人に対して強い恨みを抱き、執念深く攻撃したことが過去6カ月間に2回以上あるような場合、かかりつけ医や専門機関に早急に相談することをおすすめします。 典型的なケースを紹介しましょう。プリスクールや小学校低学年の頃から友だちとしょっちゅうけんかをして、先生から怒られると逆ギレや暴言、暴力も。親は子どもをコントロールしようと厳しくしつけますが効果はゼロ。周りからは問題児やいじめっ子としてレッテルを貼られ、親や先生たちの手に負えなくなって相談に来るというのがよくあるパターンです。発症が遅い子もいますが、遅くとも中学生までに兆候が表れます。子どもと話してみると、問題は全部、親や先生、友だちのせいで自分は被害者と感じている子が多いです。 アメリカ家庭医学会(1)によると、ODDの発症率は国や文化により大きく異なり、推定1〜16%と言われています。アメリカでは平均10.2%で、男性が11.2%と、女性の9.2%より若干多めです(2)。ODDは、遺伝的な要因と環境的な要因が合わさって発症するとされており、自閉症やADHD(注意欠陥・多動性障害)など発達障害の二次的な障害としても広く知られています。 ADHDの症状自体に「反抗的態度」はありませんが、衝動性が反抗的だと誤解を招き、叱責されやすく、否定的なコミュニケーションの仕方を学びやすいと言われています。家でも学校でも怒られっ放しだと、大人を敵と思い込み、自己否定して自暴自棄になるのは当たり前。ADHDの子どもの60%近くがODDを発症するという調査(3)もあるので、早めの療育と必要に応じた治療薬の投与が不可欠です。 さらに、ODDの子どもの3分の1が、より重篤な行為障害(CD:Conduct Disorder)を発症すると言われています。CDを発症した子どもは、家出、破壊行為、人や動物への攻撃、窃盗や万引きなどの反社会的な違法行為を繰り返すなど、社会規範から大きく逸脱します。少年拘置所に収容された10〜19歳の若者を調べた調査では、男子の62%、女子の59%がCDと診断されたという結果が出ています(4)。ADHDとODDの両方を発症している子どもはCDになりやすいほか、不安障害やうつ病も発症しやすいため、特に注意が必要です。(3) なお、CDの子どものほとんどは改善しますが、大人になってから3分の1はさらに重篤な障害である反社会性パーソナリティー障害(ASPD)へと移行します。俗に「サイコパス」と呼ばれる人たちで、良心の呵責を全く感じないまま自分の利益のために他人の権利を侵害し、嘘や違法行為、衝動に任せての暴力沙汰や危険行為を繰り返すのが特徴です。 ASPDの効果的な治療法は残念ながらまだ確立されていないため、その治療は極めて困難です。ODDからCDへ、そしてCDからASPDへと悪化させないためにも、1日も早く専門機関に問い合わせて適切な治療を受けることが大切です。効果的な療法としては、子どもの感情コントロール力と問題解決スキルを高める認知行動療法、子どもの問題行動を減らすペアレント・マネジメント療法などが挙げられます(1)。ひとりで抱え込まずに周囲の理解と支援を仰ぎ、子どもの目線に立って少しでも生活が楽になる方法を作り上げていくようにしましょう。 https://soysource.net/lifestyle/children_teen_kokoro/mama-tomo/
2020年4月、福岡県で当時5歳の男の子が餓死した事件で、今年の3月に母親とママ友だった女が保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕されました。元ママ友は言葉巧みに母親をだまして総額1,000万円以上を奪い取り、母子は食べ物もろくに与えられないまま子どもは痩せ細って死に至ったとのことです。この事件の詳細が明るみになり、多くの人が衝撃を受けました。夫と3人の息子と共に新築マイホームで幸せに暮らしていた彼女が、なぜひとりのママ友との出会いにより人生が急変し、全てを失うという事態に至ったのでしょうか。ママ友という独特の世界の中で浮かび上がってきた心理操作の手口とその予防策について考えてみました。 2016年4月、母親は子どもの通う公立の幼稚園で加害者の元ママ友と出会いました。彼女は「ほかのママ友があなたの悪口を言っている」とうそをついて母親の不安感をあおります。相手を不安にさせて判断力を奪うのは、心理操作の常とう手段。ママ友付き合いは子どもが絡んでおり関係を切るわけにもいかず、何とか周りとうまくやらなくてはいけないと母親は悩みます。その不安感につけ込み、「私は味方」とばかりに依存させ、母親の人間関係をひとつずつ断ち切りました。さらに「あなたの夫は浮気をしている」と吹き込まれた母親は2019年5月に夫と離婚。親族やほかの人間関係も全て遮断して環境をコントロールすることで母親は孤立し、真実を知ることができない状態に。 完全に孤立させると、いよいよ恐怖による支配が始まります。「自分の背後には暴力団とのつながりがあるボスがいる」と脅して、通帳や生活費を取り上げて経済力を奪いました。母親は極度の貧困と食事制限で正常な判断力を失い、生活の全てが「ボス」のグループに12台の監視カメラで把握されていると信じ込み、恐怖のどん底で加害者の言いなりになってしまいます。 ここで使われた心理操作の手口は、不安をあおり依存させ、周囲の人間関係を遮断して孤立させたあと、恐怖で相手の心を支配するというもの。ドメスティック・バイオレンス(DV)とも酷似しており、いったん支配・被支配の関係が築かれてしまうと、抜け出すのが極めて困難になります。これほどまでに極端なケースはまれですが、ママ友付き合いは子どもを介した狭い世界になりがち。子どものためにと相手に合わせたり、リーダー格のママの機嫌を損ねないように気をつかったり苦労も多く、関係がこじれると日々の生活が本当に辛いものになります。 それでは、ママ友と程良い距離感で良好な関係を保ちながら付き合うには、また、他人につけ込まれないためにはどうすればいいのでしょうか。まずは、人間は誰でもある一定の条件下に置かれると心理操作されてしまう事実を知っておくこと。「私は猜疑心が強いので絶対にだまされない」と自信たっぷりな人もいるかもしれませんが、実はそういう人こそだまされやすいのです。「絶対」という強い感情を持っている人ほど反応しやすく、不安をあおられた時に感情が先走ります。お人好しと言われてしまう真面目で誠実な性格の人も要注意。一度決めたら翻すのは良くないと考えるので、怪しい部分があっても無視して都合良く解釈する傾向にあります。また、自分で物事が決められず、必要以上に相手に合わせるタイプの人も他人に利用されやすくなります。 子どもを比較してマウントを取られたり、無理なお願いをされたりすることが多いと感じたら、思い切ってママ友と距離を取るのも手です。心理操作されないためには、そういう人と最初から関わらないこと。ですが、ある程度の関係を持ってしまうと、いきなり切るのは難しいかもしれません。会話の内容や量を自分で調整し、「孤立するのが怖い」など自分の不安な気持ちや依存心をそのまま認めてあげることが、他人に操作されないための第一歩です。そして、不安や恐れがベースになっている関係であれば徐々に関わりを減らし、安心して自分のままでいられる人との付き合いを大事にすることで、自然と価値観を共有できる人との付き合いが増えていきます。 子どもは親の背中を見て育つもの。自由に自分らしく生きている親を見て、子どももまた精神的に自立して他人に惑わされにくい大人へと育っていくことでしょう。 |
Author長野弘子 Archives
February 2022
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